歴史・開発秘話
タイルカーペットは1950年代のアメリカで誕生しました。
オフィスやホテルなど大規模施設の床材として、施工性や部分交換のしやすさを求められたことがきっかけです。
従来のロールカーペットは一体型のため、搬入・施工が大変で、傷んだ部分の交換も容易ではありませんでした。
これに対し、正方形にカットされたタイル状のカーペットは、必要な部分だけを張り替えることができ、メンテナンス性が大きく向上。
こうして、商業空間に適した新しい床材として注目を集め始めました。

日本では1970年代後半からタイルカーペットが普及し始めました。
オフィスビルの増加に伴い、欧米から輸入された製品が使われ始めましたが、日本の湿度や施工現場に合わない点も多く、国産化が進みます。
特に500mm角という日本独自のサイズが定着し、さらに防炎・防汚などの機能を強化。
日本の建築基準や使用環境に合わせた改良が行われ、企業や公共施設を中心に広く採用されるようになりました。

かつては無地や単色が主流だったタイルカーペットも、近年はデザイン性が大きく進化。
ストライプやグラデーション、幾何学模様など多彩な柄が登場し、空間演出の一部として活用されています。
視覚的なゾーニングや誘導効果を持たせる設計も増え、オフィスや商業施設の用途に応じたデザインが可能に。
機能だけでなく、空間の印象を左右する重要なインテリア要素として位置づけられています。

近年では、環境への配慮が重視され、リサイクル素材を使用したタイルカーペットが登場しています。
特に裏面(バッキング)に再生樹脂を使った製品や、接着剤不要の施工方法など、エコ性能の高い商品が増加。
また、部分的に交換できる特性から、廃棄物の削減にも貢献します。
タイルカーペットは今や、機能性と美観に加え、サステナブルな建築に貢献する次世代床材として進化を続けています。
